かりんさん

 

2000年〜2059年まで。

 

2000年生まれ。

 

 

2003年、2歳

 

タイトル:こつこつ床博士。

移動方法が「はいはい」よりも、ほふく前進であることが多かった。家の中の誰よりもフローリングの床のにおいをかいていたことだろう。

 

記憶のにおい:床のにおい

 

 

2004年、3歳

 

タイトル:絵本にわくわく。

お気に入りのスヌーピーのぬいぐるみをそっちのけで本に夢中だった。とにかくページをめくるのが好き。父や母に読み聞かせをしてもらっていた。また、毎年の夏と冬に、広島のおばあちゃんの家に行くと、おばあちゃんが1冊絵本をプレゼントしてくれた。

 

記憶のにおい:本のにおい。

 

 

 

2005年、4歳

 

タイトル:うるうるは一瞬。

幼稚園の初めての参観日で大号泣した。大勢の大人に囲まれ、一気にいろんなにおいに包まれびっくりしてしまったのかもしれない。ちなみに数か月後の運動会では誰よりも元気に行進していたらしい。慣れるの早

 

記憶の匂い:涙、大人のにおい。

 

 

2006年、5歳

 

タイトル:ご褒美にるんるん。

帰りの会で幼稚園の先生がお菓子をくれて、それを食べながらバスを待った。印象に残っているのは、ぱりんこ(おせんべい)。表面の塩をなめていたような...(笑)幼稚園はしょっぱいにおい(の記憶)。

 

 

2008年、7歳

 

タイトル:ドキドキの通学。

家の近くで通学路にノラネコが10匹くらいいた。動物が苦手だったのでびびりながら毎日小学校に通った記憶。さらに秋になるとそこの近くに銀杏の木があり、ギンナン臭もあった。そこを過ぎたら友だちとおはよう。

 

記憶の匂い:ノラネコ、銀杏。

 

 

 

2011年、10歳

 

タイトル:年に一回のそわそわ。

クラシックバレエの発表会。髪をガチガチにかためる整髪料のにおい。顔だけではなく首や腕にも塗るファンデーションのにおい。メイクさんの香水のにおい。緊張感が生まれる特別なにおい。

 

 

 

2013年、12歳

 

タイトル:夢のぷかぷか

プールのにおい。泳げなかったから、プールの授業が大嫌いだった。真面目でさぼれない性格だったので毎回参加。プール後の授業の教室は、塩素のにおい。嫌だったけど、乗りきったぞ、という眠気とともにやってくるにおい。

 

 

2016年、15歳

 

タイトル:うきうきJC。

中学3年生の時、超絶イケメンの社会の先生が学校に!その日から先生に会うために通った。目立つために社会係になったり、積極的に質問したり。テストもめっちゃがんばった。先生の石鹸のような香水のにおいをよく覚えていて、卒業しても同じにおいをかぐと先生を思い出す。あれ、そろそろにおいを忘れてきちゃったな

 

 

2017年、16歳

 

タイトル:ぺこぺこタイム。

次の授業を終えればお昼休憩。

だけどお腹はとっくにすいている。なんなら1時間目から。朝ごはんもしっかり食べたのに。そんなときの甘い誘惑。定番はグミ。クラスの友だちと交換するのが日課。それでも乗り切れない時は必殺、早弁。一足先にお弁当を食べる私。なんで高校生ってこんなに早くお腹がすくのだろう。

 

記憶の匂い:グミ、お弁当

 

 

2018年、17歳

 

タイトル:うとうと撃退法。

 

大学受験の勉強中、ねむくなってしまった時はいつも決まったメーカーのカフェオレを飲んでいた。それを飲むことで気分転換にもなり、再び勉強に打ち込んだ。カフェオレの甘い香りはがんばったにおい。スイッチが入るにおい。

記憶のにおい:グミ、お弁当のにおい。

 

 

 

2019年、18歳

 

タイトル:毎日スラスラ。

高校3年の冬の放課後はよく図書室に行って英語の勉強をしていた。

新しいけどどこかで安心するにおい。いつも同じ席で勉強していたから逆にその席は私のにおいがついているかも?がんばれ、後輩たち!

 

 

2019年、18歳

 

タイトル:もわもわシーン。

演劇の公演での劇場のもわっとしたこもったにおい。舞台セットの木材のにおい、明るい照明、役者の熱気、大きな音響、メイク道具のにおい、スモークをたくときの煙のにおい、特別な空間で本番のときだけに感じられる特別なにおい。

 

 

2019年、18歳

 

タイトル:誘惑ぷんぷん。

カフェでアルバイトしている。初めてのアルバイトで高3年生にスタートした。最初は苦くてコーヒーが飲めなかったが、コーヒーの香りにつつまれてバイトしていくうちに飲めるように。またパスタをつくるとき、いい香りがしてお腹がすいてしまう。ボロネーゼが一番いいにおい。

 

 

2019年、18歳

 

タイトル:(無題)

初めて男の人と2人でおでかけ。ポップコーンMサイズ塩味。向かったイタリアンのお店は開いていなかった。残念。そのまま帰宅。

あのとき、ピザが焼き上がるにおい、フレッシュトマトの香り、口の中に広がるバジルの香り、たっぷりチーズの香りに包まれながら、トイストーリーの感想を言い合えていたら私たちの関係は変わっていただろうか。ときどきふと思う。

 

 

2020年、19歳

 

タイトル:もんもんとしたあの雰囲気。

大学1年のときコロナ流行で、約2カ月間稽古していた演劇サークルの公演が中止に。公演の2週間前だった。とにかく悔しかった。中止するかどうかを話しあった稽古場のこもった雰囲気は忘れられない。すでにほぼできあがって舞台セットの木材のにおい。稽古場のカビっぽいにおい。

ここまでがんばったことと現実が混ざった、矛盾したにおい。

 

 

2020年、19歳

 

タイトル:ぐるぐる頭の中で。

コロナ禍でおうち時間がふえた。いろんな想像をした。大好きなテレビドラマをたくさん見て、いつもしないゲームを始め、コロナが明けたらやりたいことを考えて過ごした。過去の思い出をさかのぼり、想起されるにおい、未来にきっとあるにおい。想像を超えるにおいがたくさんありました。

 

 

2022年、21歳

 

タイトル:おはなぱんぱん。

家から最寄り駅までの商店街はにおいのバイキング。10分0円嗅ぎ放題。家を出てしばらく歩くとコインランドリー、洗剤の香り。美容院のトリートメントのあのにおい。畳屋さんのにおい。お花屋さん。インドカレー屋さん。締めはカフェのコーヒーの香り。ふー、おはないっぱい。

 

 

2025年、24歳

 

タイトル:ふむふむライフ。

社会人3年目。大人になっても好奇心旺盛でありたい。たくさんの本を読んでどんどん未知のにおいを取り入れる私。

 

 

2027年、26歳

 

タイトル:ぬくぬくリーダー。

この人になら本音を言えると思ってもらえるような、信頼感のあるリーダーに。安心感のあるにおいを纏う女性になりたい。

 

 

2059年、60歳

 

タイトル:(無題)。

どんな話題も広げられるようなものしりになる。私にしか出せない雰囲気、香りの女性に。