ゆうりさん

 

1995年〜2030年まで。

 

1995年、0歳。

 

タイトル:Lavendertea tree.

他の可愛いカップは嫌がり、益子焼のカップからしか飲み物を飲まなかった。言葉は発せずとも、すごく意志の強い赤ちゃんだった。ただ泣くというよりも、主張を伝えたり目で訴えたり。

おしりふきは、市販品は使わず、いつもラベンダーとティートゥリーの精油を垂らしたお湯でしぼったものだった。

 

記憶の匂い:ラベンダーとティートゥリー

 

 

1998年、3歳

 

タイトル:Grand father’s soap.

妹が生まれた年。母の入院中におじいちゃん、おばあちゃんとすごした。

おじいちゃん、おばあちゃん子だった。

おじいちゃんとお風呂に入って算数や、歌を教わったのが懐かしい。それから算数を頑張れるようになったかもしれない。

おじいちゃんの化粧品や石けんのにおいが記憶に残っている。

 

 

2000年、5歳 

 

タイトル:First baking.

二人目の妹が産まれた年。

料理好きで早起きして家族の朝ごはんづくりをしていた。

母と一緒にお菓子づくりとパンづくりをした記憶がある。

においの記憶は電動ミキサーで材料を混ぜる時のへんなにおい。パンを焼く前の生地のにおい。

焼けたクリームパンのにおいの印象が強く残っている。

お菓子づくりは今も好き。

 

 

2002年、7歳

 

タイトル:Saturday piano lesson.

小学生の時はピアノ、習字、スイミングを習っていた。

小学校2年生の時に、保育園から仲良しの子が転校してしまい、寂しかった。

その後、新しく転校してきた友達と親友になり、楽しい、楽しい学校生活だった。でも、覚えていないが、学校がイヤで大泣きして大変な日もあったらしい。

 

においの記憶を思い出してみると沢山あってびっくり。

嫌いだったにおいは、給食の牛乳パックを洗う、流し台のにおい。印象的だったにおいは校庭の遊具で遊んだ時の手の鉄っぽいにおい。鉄棒や雲梯、大好きな一輪車を練習した後のにおい。

 

心が落ち着いたにおいは、ピアノの楽譜のにおい。ピアノ教室のピアノの木のにおい。土曜日の午後、ピアノ教室に入る瞬間にふわっと香る香り。

 

 

2005年、10歳

 

タイトル:After school playground.

小学校高学年になった。

校庭で鬼ごっこと、学校の前の駄菓子屋に行くのが放課後の楽しみだった。

6年生か5年生から塾に通い始めた。負けず嫌いで理数系は好きだったけれど、塾の先生は大嫌い。ぎりぎりまで、校庭で遊んで塾に行く日々だった。

駄菓子屋のガムのレモン香料のにおい。校庭の砂っぽいにおい

塾の教室にどんより漂う、プリンターのインクやパソコンのこもった嫌なにおい。

 

 

2007年、12歳

 

タイトル:Trumpet.

学校のクラブで金管鼓笛クラブに入り、小学校4年生と6年生でトランペットを担当した。

毎日、腹筋して高音を吹けるように頑張っていた。

特に、運動会で演奏するトランペットで鉄腕アトムを練習していた時、高音パートが難しかった。吹くことが出来るようになったときは、達成感を感じていた。

トランペットのマウスピースの金属のにおいとお手入れのクリームのにおい

 

 

2008年、13歳

 

タイトル:Smile.

中学校に入学。

中学受験をして、地元のみんなと違う中高一貫校へ進学。寂しさと少しの不安。

はじめましての友達に会うドキドキ感

新入生歓迎会のチアパフォーマンスに感動して、私もみんなを笑顔に出来ることをしたいと思い、ダンス部に入部。

部活の規則が厳しく、練習も結構ハードだったけれど、毎日没頭出来て楽しかったし、充実していた。

 

 

2011年、15歳

 

タイトル:Tim Hoton’s hot chocolate.

中学3年の冬、Canadaにホームステイ。

初めての飛行機、初めての海外だった。

家族と離れ離れで、外国で暮らすことに不安もあったが、それ以上にどきどきわくわくしていた気がする。

Ontarioの町でSecondary schoolに通い、温かいホストファミリーと暮らした。

帰国して2年ほど経った時、当時の学校のバディから手紙をもらう。15歳の私は、英語で全然コミュニケーションできていなかったけれど、お互いにとって大切な存在と感じることができて、とっても嬉しかった。今でもクリスマスとお互いの誕生日にはプレゼントを交換しあえる仲に感謝している。

 

 

2011年 、15歳

 

タイトル:Parking cheerleader.

高校でも中学から引き続きダンス部に入部した。チアリーディングを続けて全国大会出場を目標にチームのみんなと毎日練習に励んでいた。練習場所は駐車場だった。アスファルトの上に寝そべって柔軟をして、踊る日々。スタンツの練習は校庭の砂の上。たまに使える体育館が嬉しかった。そんな、他にはなかなかないであろうワイルドなチア練習で、

みんなで日々切磋琢磨し、最後の年に一緒に全国大会へ出場できたのは、人生の中で大切な大切な思い出。その時感じた自信が、今の私にも繋がっていると思う。

 

記憶の匂い:練習後のデオドラント。甘いフローラル。アスファルトのほこりのにおい。チアシューズのにおい

 

 

2013年、18歳

 

タイトル:Tomato juice.

大学受験で塾に通っていた時、勉強に疲れて毎日帰った後のデルモンテの無塩トマトジュースがご褒美だった。夜中にゴクゴク飲んでいた。

塾の先生には早くセンター試験の対策をしなさい、と言われ塾の講師とケンカしながら、頑固に小論文の対策をしていた。友達も応援してくれて、自分らしくいられた。

納得するまで頑張りきらないと気が済まず、バチバチしながらもがむしゃらに頑張って、走り切った思い出。合格できた時には、自分の意志を貫いて本当によかった、と心から思えた。

 

記憶の匂い:夜空をぼーっと眺めながら歩く、夜中11時の線路わきのにおい。

 

 

2014年、18歳 

 

タイトル:Forest dormitory.

大学入学で初めの一年、寮生活をした。「森」という感じの木々に囲まれた中で、友達との生活がスタート。

古くて夜は怖いし、スーパーも遠かったけれど、なぜか嫌いではなかった場所だ。

念願叶って入学できた大学で、農業や科学に興味があったので大自然の中わくわくしていた。

 

記憶の匂い:鬱蒼とした木々の深い緑のにおい

 

 

2014年、19歳 

 

タイトル:Cafe Verona.

Starbucksでバイトをスタート。それまで苦くてコーヒーは飲めなかった・・・バイトを始めて、お豆の勉強をして、どんどん興味がわいて1番始めに好きになったお豆。チョコレートと飲んで更に美味しくなる感動を体験した。

コーヒーについて学び、その魅力をお客さまに伝える毎日に大きなやりがいを感じた。

そんな日々の中で「コーヒーで人が繋がる」と感じた経験は、その後の人生のターニングポイントとなった。

 

記憶の匂い:コーヒーの苦いにおい。色で例えるなら焦茶色

 

 

 

2015年、19歳〜20歳 

 

タイトル:Debut’ Rose.

大学2年でフィリピンへ半年間交換留学した。あまりに生活環境が違っていた。お風呂は水道で、お湯もシャワーもない。ベッドに横たわるとアリに噛まれ、毎日スコールでネットは落ちる・・初めの2週間、毎日学校から帰ると泣いた。

そんな中でも、周りにいてくれた友達や先生が本当の家族のように接してくれて、パワフルさに励まされた。当時の先生、友達、ダンスチームメイトは今でも家族のようだ。そんな中で二十歳を迎え、友達と先生がサプライズパーティーを開いてくれた。20人の男の子から20本のroseをもらってダンスする、海外ならではの経験が出来た。沢山の人がpartyを企画、実施してくれて、嬉しさで心がいっぱいだった。

 

 

2016年、20歳

 

タイトル:Coriander&Orchid.

大学3年の夏にThaiSummer Schoolにいった。

それまではパクチー好きな方だったけれど、本場のパクチーの力強さに、それ以来食べられなくなった...

蘭農園にも行って、蘭の栽培風景を見れたのも印象的だった。

 

 

2016年、20歳 

 

タイトル:Tomato flower.

大学3年の夏、Bordeauxの大学のSummer Schoolに参加。トマトの花を顕微鏡で観察したり、ワイン畑(シャトー)に行ったり、Bordeauxの大自然の中で自由研究みたいな活動に没頭。フランスの綺麗な街並みや文化に触れることができて幸せだった。またフランスの綺麗な自然を感じに行きたい。

 

 

2017年、21歳

 

タイトル:One spoon Cappuccino.

大学4年の夏、Indonesiaの大学のSummer Schoolに参加。合間に自家焙煎roasteryを訪問。初対面のマスターに、大学ではコーヒーの研究とバリスタのアルバイトをしていると話すと、「コーヒーをハンドドリップしてみて!」といわれドキドキしながらコーヒーを淹れたら、美味しいカプチーノを淹れてくれた。ここでも、コーヒーで人と繋がれたと感じた。

 

 

2018年、22歳

 

タイトル:Hawaiian Snow.

2018年、一人でほぼバックパッカー状態でBig IslandOaf島でコーヒーを巡る2週間。

冬のないHawaiiでのHawaiian Snow、それはCoffee Flowerだ。

農園一面に咲き誇る真っ白な花。

はかないJasmineのような強いけれど透き通るような甘さのある香りは一生忘れない香り。

 

 

2018年、22歳

 

タイトル:COE.

秋のBostonでジョージ・ハウエルのcoffee shop へ行った。

憧れの場所へ行け、コーヒーを飲めた嬉しさで、味や香りはほぼ覚えていないが、冬に近づく、ツンとしたBostonの空気の中でコーヒーの温かさが心地良かった。

 

 

2018年、23歳

 

タイトル:Green Bean.

大学院に入学して、ブラジルに留学へ。

コーヒーの研究をするならコーヒー大国へ!とシンプルな考えで行った。

ブラジルでは研究しながら、コーヒー農園へ通っていた。コーヒーの実を手摘み、精選

して、乾燥、欠品豆の選別と一連の作業を手伝わせてもらうことができ、コーヒーにかける人の想いに改めて触れ、圧倒された。乾燥が激しく、朝晩の気温差が大きいコーヒーの育つ環境を身をもって体験できた。お世話になった日系コーヒー農家さんは、ブラジルでの実家のような存在だった。いつも帰るのが楽しみで、帰る度に美味しいコーヒーはもちろん、手作りのお料理を用意してくれた。古き良き日本を感じることもできて、癒しの時間だった。

 

 

 

2019年、24歳

 

タイトル: Coffee cherry.

ブラジルから帰国し、数日後にはハワイに発った。念願のハワイ大学への留学が始まった。コーヒーチェリー(コーヒーの実)について研究することを目標に、ハワイ大学の研究室に迎え入れられた。目標を持ち、ハワイに行ったが、いざハワイ大学の研究室に行ってみると、周りの学生や研究者は各々でどんどん研究を進めていた。

自分に何ができるか、何をしに来たのかを見失った。恋愛も上手くいかずに、食事も食べられない、眠れない日もあった。そんな時、ラボのみんなが韓国のフライドチキンパーティーを開き、励ましてくれた。それから、研究サンプルを自分達で農園に貰いに行き、できることから実験を進めた。ようやく実験が進んできたところで帰国が近づき、少し不完全燃焼な感じがした。しかし、教授は「結果が出なくても、目標を持ってここに来て実験をしたことに意味がある。ここからがリレーションシップの始まりだよ。」と優しい言葉で送り出してくれた。短い滞在だったが、とても濃い時間を過ごせた。

思い出すのは、実験で使って痛んだコーヒーチェリーのにおい、実験機器のにおい、毎朝みんなが飲んでいたスタバ、そしてヤンニョムチキンのにおい。

 

 

 

2020年、24歳

 

タイトル:Chiliqui.

コーヒーの研究をブラジルと日本で何とか終えて卒業した。

研究に使っていたチリキのお豆のにおい、風味は今嗅いでも当時がかすかに浮かぶ。

コーヒーのにおいを嗅いでいるのに、研究室の試薬のにおい、何とも言えない暗さのある雰囲気が想起される。

 

 

 

2020年、24歳

 

タイトル:Hand brew.

社会人がスタート。コロナ渦での新生活で不安も大きかった。毎日在宅だったので、コーヒーを淹れて、コーヒーと向き合う時間をたくさん取れた。

 

 

 

2021年、25歳

 

タイトル:Geisha.

2021年12月31日大晦日に飲んだ、ハンドドリップコーヒー。華やかで、フルーティーで、香りが強くて、余韻が長くて、今まで飲んだコーヒーで1番のレベルのおいしさだった。同じコーヒーでもこんなに個性があることが興味深いなと改めて思った。この時の感動は、今でもいろんな人に言い回っているほど。

印象的な香りは、フローラル、強く濃い芳醇な香り、ライチ、ピーチ、少しのベリー。

 

 

 

2022年、26歳

 

タイトル:Roasting Challenge.

生豆(green bean)を自分で焙煎する練習をスタート!

火の入り方が足りなくても苦いし、渋いし、煎りすぎても焦げて苦く、とても難しい。

大豆を炒ったような香り、焙煎が進み徐々にコーヒーらしい香りへの変化を感じられるのも楽しみの一つ。

 

 

 

2025年、29歳

 

タイトル:RoseJasmine.

20代ラストにFranceGraceへ行って、rose畑、Jasmine畑、Lavender畑に囲まれたい。

香水の香りもステキだけど、畑にいる、お花の生の香りを感じたい。感じた香りを自分の鼻で分解して成分がわかるようになれていたら素敵。

 

 

 

2030年、35歳

 

タイトル:Coffee flower.

コーヒーの花の香りを創る。

人生で感じた香りで最も魅力的な香りなので、自分で香りを創って、色々な人、コーヒーの花の香りを知らない人にも感動を共有したい!そして何より、今までコーヒーのことを教えてくれて、色んな経験をさせてくれた人達にプレゼントして恩返しがしたい。